触れているだけで、ほっと落ち着く。
イランの遊牧民が織る「ギャッベ」は「毛足の長い絨毯」の意味で、母から娘へ、家族の繁栄への願いを込めながら、糸紡ぎや織りの技術が受け継がれてきたもの。
一つとして同じものがない、 その特別なぬくもりは、国を越え、時代を超えて幸せを運びます。
イラン南西部に連なるザクロス山脈。
富士山にも迫る、標高3,000m超の峰がそびえ、乾燥した荒野が広がっています。
少ない草を求めて、夜明け前から羊を放牧する遊牧民たち。
見渡す限り岩々が続く厳しい場所で、女性たちは水や緑があふれる世界へのあこがれ、家族への愛情を、彩り豊かな「ギャッベ」に織り上げてきました。
イラン南西部のファールス州で培われた手織りの伝統技能は、
「ユネスコ世界無形文化遺産」に登録されています。
約3,000年にも渡ってイランで受け継がれてきた伝統の技法。
手で紡いだ糸を使い、経糸に色糸を一つひとつ手結びしていく目の詰まった絨毯ですので、とても強くて耐久性があります。
その色彩は豊かで、時間と共に味わい深く変化します。
だから50年、100年と使うことができ、使う人たちの成長と共に変化しながら次世代へ受け継いでいける「一生のパートナー」となるのです。
カネヒロが取り扱っているゾランヴァリ社のギャッベは、自然の草木から抽出した染料を使っています。
人体に有害な物質を含んでいない証として、ギャッベでは唯一、国際基準の規格にも合格しており、敏感肌や、アレルギーのある方にもオススメ。
もちろん、お子様にとっても安心・安全な絨毯です。
ギャッベで唯一
「エコテックス規格100」に合格
昼夜の温度差が激しいイラン高地に住む羊の毛は、細く柔らかで保湿力に優れています。
また、上質な油分を含んだ羊毛は汚れにくく、なめらかな肌ざわりが魅力。しかも調湿効果が高いため、蒸れたりかさついたりせず快適です。
冬は暖かく、夏はべたつかずサラっと心地良く…季節を問わず一年を通して、最高の肌ざわりでお使いいただけます。
自然の中ではまっすぐな線がないように、織り子さんが手織りで丹精を込めて作るギャッベもまた、まっすぐな線はなく、均一な色でもありません。
だから、自由な感性とオリジナリティがギャッベから感じられるのです。
こうして作られる「ゆらぎ」や「グラデーション」は、見ている私たちをいつのまにかやさしく、あたたかな気持ちにさせてくれます。
素朴で美しい絨毯「ギャッベ」を初めて見出したのが、Zollanvari(ゾランヴァリ)社でした。
遊牧民を敬い、天然素材で良質なギャッベを作り出すZollanvariの真摯な姿勢。その考え方に、私たちカネヒロは感動しました。
この「ギャッベ」の魅力を、皆さまと一緒に語り合えたら、とてもうれしく思います。
Zollanvari(ゾランヴァリ)とは?
遊牧民の間で、約3,000年にも渡って受け継がれてきた、素朴でぬくもりあふれる絨毯「ギャッベ」。それを初めて見出したのがZollanvari氏でした。
遊牧民と語り合い、共に美しいギャッベを作り出す情熱を持って、世界的にギャッベの評価を高めてきました。
Zollanvariのこだわり
春に刈る良質な羊毛のみを使って糸を紡ぎ、天然染料にこだわって美しく鮮やかな糸を染め上げます。
アゾ染料やニッケルなど人体に有害な物質を含まない安心の証として、ギャッベでは唯一、Zollanvari社のみが国際基準の「エコテックス規格100」に合格しています。
寒暖差の激しいザクロス山脈に住む羊の毛は細くて長いのが特徴。
春に刈る「冬毛」は、秋に刈る「夏毛」のようにゴワゴワせず、とても肌ざわりがなめらかです。
ゾランヴァリ社では、絨毯づくりに適した、長くて柔らかなザクロス羊の「冬毛」にこだわっています。
重りをつけた糸巻き棒を回して、遠心力で紡ぎます。
ザクロス羊の毛は、他種よりも毛が長くてまっすぐなため、糸を紡ぐときに切れにくく丈夫です。
茜の根やザクロの実の皮など、天然染料にこだわり、彩り豊かに染色をします。
Zollanvari社は、アゾ染料やニッケルなど、人体に有害な物質を使っておらず、ギャッベでは唯一、国際基準の「エコテックス規格100」に合格しました。安心してお使いいただける証として、Zollanvari社のギャッベには、右上のマークが付けられています。
色鮮やかな糸を色分けし、山岳地帯に暮らす遊牧民のもとへ届けます。
受け継いできた技法で、遊牧民の女性たちが思い思いの柄を織り上げます。2~3人が並び、一つひとつ色糸を手結びして、柄を描いていきます。
織り上がったばかりのギャッべは表面がけば立っているため、工場で仕上げを行います。
裏面の凹凸をなだらかにし、熱で糸目を引き締めるため、バーナーで焼きます。その後、焦げをデッキブラシで掃き出します。
こうした工程をしないギャッベもある中、ゾランヴァリ社では徹底した品質管理を行っています。
凹凸の激しい表面を、一定の速さで何度か刈り揃えていきます。
肌触りの良さのカギとなる、とても重要な作業です。
ゾランヴァリ社では熟練の技で、極力毛足を短く仕上げることができるため、夏でもさらりと使えます。
土ぼこりや遊び毛を洗い落とすため、農具の鍬(くわ)のような道具を使い、縦方向に横方向に、何度も丁寧にかき出していきます。
石を敷き詰めた工場の敷地内で、天然乾燥をします。イランの乾燥した強い日差しのもとでも、天然染料は色あせず、鮮やかさを保ちます。
縁をカットしてから、糸でまつってほころびにくくします。
縁の毛足もおさまりが良いように、はさみで丁寧に整えます。
たくさんの人たちの愛情から生まれたギャッベが、カネヒロにやって来ます。
素朴さを生かしながら、仕上げは丁寧に美しく。
縁の始末一つをとっても、徹底した品質管理が見て取れます。使う人の笑顔を想像しながら、送り出す人たち。
たくさんの人の愛情が、ギャッベを生み出しているのです。
2階を埋めつくす「ギャッベ展」
手織り絨毯で、2階を埋めつくす! ~ギャッベ展~
ギャッベ【お手入れ方法】
普段は毛の流れに沿って掃除機をかけるだけでOK。 食べこぼしなど、汚れの種類に分けて、お手入れ方法をご紹介します。
ギャッベ【納品事例】
触れているだけで、何だかほっと落ち着ける。いろいろなご家庭に仲間入りさせてもらった「ギャッベ」を、いくつかご紹介いたします。
「青」のギャッベ(一例)
青~水色はインディゴで染色し、広くつながる青空や、水辺の少ないイランの遊牧民にとって「未知の世界」である大海原、深い夜空などが描かれます。
「黄色」のギャッベ(一例)
黄色は、野草のジャシールやザクロの皮から染色し、太陽や花など、元気を与えてくれるモチーフが多く描かれます。
「緑」のギャッベ(一例)
緑色は、黄色に染めた糸にインディゴを重ねて染色し、生命力あふれる木々や、乾燥した岩山に暮らす遊牧民あこがれの青々とした草原などが描かれます。
「赤」のギャッベ(一例)
赤は、茜の根から染色し、力強く目を惹きつける作品が多く作られます。生命力を象徴する色です。
「原毛ベース」のギャッベ(一例)
原毛とは、羊の毛を染色せず、そのまま糸に紡いだものをいいます。質の高い羊毛でないと原毛としては使えないため、希少価値があります。
「風景」のギャッベ(一例)
風景を描いた作品は「ランドスケープ」と呼ばれ、憧れの世界として、緑あふれる山並みなどが多く描かれます。とてもほっこりと癒される、アート作品のような絵柄です。
見渡す限り岩山が続く厳しい場所で、女性たちは水や緑あふれる世界へのあこがれ、
家族への愛情を、彩り豊かなギャッベに織り上げてきました。
実際にイランへ行き、街から5~6時間かけて山岳地帯へと分け入ると、殺伐とした土地とはうらはらに、とてもあたたかく迎えてくれた遊牧民たち。「サラーム(こんにちは)」とあいさつを交わすと、快く織り仕事の様子を見せてくれ、実際に織らせてもくれました。
荒野の中で遊牧民たちの暮らしに触れ、その笑顔やぬくもりが、ギャッベに織り込まれているように感じました!
この貴重な体験記とともに、ギャッベの魅力を皆さまと一緒に語り合えたら、とてもうれしく思います。カネヒロ スタッフ(曳村 恵子)